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講演「こどもを育むまちづくり~地域一丸となってこどもを育むためのしかけづくり」

2014年12月16日

ページ番号:159615

地域の絆を強くする

 こどもたちを取り巻く状況というのは非常に厳しくなっております。すくすくと育むというのが今日の一つの話題でございますけれども、もう一つはこどもたちの安全を守っていこうじゃないかという役割でも皆さん動いていらっしゃると思います。なかなか親御さんだけではこどもの安全を守れなくなってきた時代でございまして、やはりここに地域の方の関わりが重要になってきているということだと思います。今日もその決起集会的なこともあろうかと思います。さらに、高齢者の増加、高齢者が増えること自体が悪いことではないのですが、お一人暮らしになってさまざまな方がいろいろお世話をしないといけなくなってくる。このお世話をする方が増えてくることによって、またご家族だけでは難しいということで、地域の力も借りないといけないという状況になってきております。

 今日の主催は大阪市の中でもこども青少年局だと思いますけれども、さまざまな局からいろいろなことが地域におりてきているというのが実態だと思います。私はそろそろこの関係をもう少し整理をさせていただいて、地域の方も「あれせい、これせい」と言われて手いっぱいになっていますので、もう少し地域の方が取り組みやすい方法でうまくやっていただいた方がいいのではないかと申し上げています。しかし、なかなか市役所だけでは取り組めない、親御さんだけでは取り組めない、みんなで、今日は「総がかりで」ということになっておりますけれども、こういうようにさまざまな方々が関わっていかないといけない時代に入ってきていると思います。しかしながら、市役所との関係だけが地域の方をしんどくしているのではなくて、動いてくださる方の数が減っているということも事実だと思います。いつも同じメンバーに声がかかってしまうということです。これを少しでも関わってくれる方が増えれば、お一人お一人の負担が楽になるということだと思います。しかし、なかなか周りに声をかけても引き受け手がいないというのも事実だと思います。

 今日お集まりの皆さんが地域活動に関わっていただいたきっかけは何だったのか。場合によったら前任者の方に騙されたという方もいらっしゃるかもしれません。ちょっと失礼な言い方になるかもしれませんけれども、「ちょっと、次あんたやってくれへんか?」と言われて、「そんなん私できへんわ、忙しいし。」「いや、年に何回か顔を出しといてもらったらいいだけですわ。」「年に何回かですか?そしたら名前書かせてもらいましょうか。」と書いたのが運の尽き。年に何回かどころか、月に何回かどころか、毎週何かある、というようなことになってしまった方もいらっしゃるのではないかと思います。ただ、このままの状態では、皆さんの次の方へのバトンタッチができないのだろうと思います。

 私は大阪市の社会教育委員もさせていただいておりまして、はぐくみネットの地域でのお手伝いもさせていただいております。さらには、生涯学習推進員さんの研修も担当させていただいておりますけれども、生涯学習ルームの運営がうまくいっている所の推進員さんが同じことをおっしゃっておられました。

 それは何かと言うと、推進員の一番大きな仕事は、次の推進員さんに私たちよりも楽をしてもらえるようにして次に渡すことなんだ、ということでした。つまり、今私たちは一生懸命がんばっているかもしれない、でも、負担が大きければ大きいほど次の方に引き渡せないから、できるだけ自分たちの代で仕事も整理をし、他の人たちにも役割分担をしてもらって、推進員さんそのものの負担を減らすことで、次の推進員さんがもっと気軽に担当できるようにしてあげたいんだと、それが今の任期中の一番大きな役割です、というお話をしておられました。ということで言いますと、できるだけ、少しでもいいから手伝っていただける方が増えていくことができればなと思っております。これも口で言うほど簡単ではないというのが実感でございます。

 逆に、今、文句だけを言って周りの人にやってもらおうとする、いわゆる人任せの人が増加しているということが問題になってきています。本当にどんどん増えています。この人任せの人、本当に任せてくれるのであれば楽なのですが、この人任せの人というのは、本当は任せてくれていないのですね。都合の悪いことが出てくると、「あなたに任せていない、誰が決めたのか。」という話になるわけです。これが一番厄介です。任せっきりなら任せてくださいよというのが、皆さん方の立場での思いだと思います。文句を何回も言われたらこちらもやる気がなくなりますね。例えば年末年始で、忘年会の幹事さんを引き受けたとしましょう。3回文句を言われたらやる気がなくなりますね。どういうことかと言いますと、幹事さんで店を見つけてきました。みんなの前で、「今年の忘年会はここの店でやりますよ。」と言ったら、ある方が「そこは料理はおいしいけれど、雰囲気が悪い。」「ここの店はどうですか?」「そこは駅から遠い。」「ここはどうですか?」「料理がまずい。」、3回言われると、「もうあんたがやったら。」という話になりますね。でも、そういう方は「それは私の仕事ではなく、あなたの仕事だから。」と言いますから、なかなか前に進めないという状況になるわけですね。これを何とかしないといけないと思っています。

 こういう人任せの方々は、「別に近所づきあいしなくても困っていませんよ。」とよく言われます。確かに普段生活されている間は、近所づきあいがなくても何とかできているんでしょう。けれども、災害が起こったときは近所の方に助けていただかないといけない状況になります。今年は阪神淡路大震災から15年目で、少し大きめのイベントを1月17日にやりましたけれども、この阪神淡路大震災の経験を持っている神戸・阪神間の方々は、いざというときはご近所なんだとおっしゃいます。実際に、家の下敷きになって助け出された方の約8割は、近所の方に助け出されたということです。警察とか消防署、あるいは自衛隊の方々も駆けつけてくれましたけれども、それだけではなかなか手が回らなくて、実際には約8割の方々がご近所の方に助け出されたという事実がございます。ということですので、やはりいざとなったらご近所なんだということなのですね。

 こういうことをわかっていただこうと思っても、なかなかわかってくださらない方もいらっしゃいます。この前もこういう話をしましたら、私はちゃんと税金を払っているので、いざというときは市役所の人が来てくれるでしょ、と言われるんですね。でも、市役所の人は来ないんです。来ないというか、来られないんですね。被災をした人数と市役所・区役所の方の人数を比べますと、到底すべての避難所に駆けつけるということはできません。ですので、いざというときは、ご近所同士が支えあわないといけないと思っています。

 今日は私の講演の前に、阿倍野区の長池連合の方のお話がございました。キャンプで防災というお話でございましたけれども、まさしくそれも一つの典型的なお話だと思います。うちの学生が卒業論文で、キャンプで使う道具と災害時に避難するときの道具をリストにして比べてくれました。実は8割くらいいっしょなんですね。水道もない、電気も通っていない所に行ってしばらく生活をするための道具がキャンプ道具ですよね。これは災害が起こったときと同じ状況なんですね。ですから防災用品を揃えるというと身構えてしまう方には、「キャンプに行きませんか。」と誘っていただくと、楽しみながら防災用品を揃えていただけるということにもなりますし、さらには防災訓練ということではなかなか腰が上がらない方も、「年に一度、校庭でキャンプをしませんか。」と言うと、楽しみで出かけてくださる方も増えてくるだろうと思います。

 実はこのキャンプを設営するというのは避難所の設営とまったく一緒なんですね。ですから、キャンプというのと防災活動というのはかなり密接に関係をしております。そういう意味では、この長池の取組みというのは非常に典型的なわかりやすくておもしろい取組みだと思って話を聞かせていただきました。ただ、先ほどの、いざとなったら誰かが助けてくれるんだと思い込んでいる人、こういう方が避難所に来られても弁当を配る筋合いはさらさらないという気持ちになりますね。でも、今日お集まりの地域を支えている方々というのは、とっても人がいいので、本当は心の中では「なんでこの人に配らないといけないのか、普段地域の活動を何も手伝ってくれなくて、逆に地域の活動なんていらないという方だったのに。」と思っておられるかもしれないけれど、いざとなったらお弁当を配ってしまうんですね。配ってしまうとその人は懲りません。また落ち着いてくると地域の活動なんて要らないと言うかもしれません。これはなかなか難しい話でございます。

 ちょっと話が脱線しましたけれども、話を元に戻しまして、やはりいざとなったら、地域が頼りなんだということです。ですから今日もそうですけれども、地域の絆というものをより強くできないだろうか、そして多くの人に地域の大切さをわかってもらえることはできないだろうか、ということを私もこの数年間頑張っているところでございます。

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